脳神経外科
診療責任者
- 西澤 俊久
-
- 部長
- 兼 脳卒中センター副センター長
患者の皆さまへの一言
近年の脳神経外科治療は著しい発展をとげ、また手術方法も変遷を続けています。当科は常に新たな治療を導入し、高度な脳神経外科医療にも対応できるよう診療体制の充実と手術手技のスキルアップを心がけています。脳卒中や頭部外傷など緊急性の高い疾患に対しては、365日24時間対応できるように体制を整えています。
頭痛やめまいなど脳神経領域でのお悩みや不安のある方や、脳ドックで異常を指摘された場合などは当科へご相談ください。
代表的な対応疾患
- 脳血管障害
- くも膜下出血・脳動脈瘤・脳動静脈奇形・高血圧性脳出血・脳梗塞・頸動脈狭窄・頭蓋内動脈狭窄
もやもや病など - 脳腫瘍
- 悪性神経膠腫・髄膜腫・聴神経腫瘍・下垂体腫瘍・転移性脳腫瘍・頭蓋内胚細胞腫瘍
頭蓋内悪性リンパ腫など - 頭部外傷
- 急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫・慢性硬膜下血腫・脳挫傷など
- 脊髄疾患
- 頸椎椎間板ヘルニア・変形性頸椎症など
- 水頭症
- 正常圧水頭症・中脳水道狭窄症など
- 機能的脳神経疾患
- てんかん・三又神経痛・顔面痙攣など
- 小児脳神経疾患
- 小児脳腫瘍・先天性脳脊髄疾患など
- 頭痛
- 片頭痛・群発頭痛・緊張型頭痛など
診療内容
- 脳血管障害
- いわゆる脳卒中といわれる疾患です。脳出血やくも膜下出血といった出血性脳血管障害ばかりでなく、脳梗塞などの閉塞性脳血管障害も対象としています。
近年この領域では、脳血管内手術といわれる低侵襲の手術方法が著しく発展しています。当院では脳動脈瘤に対する脳動脈瘤コイル塞栓術・頸動脈ステント留置術・腫瘍血管塞栓術に加え、超急性期脳梗塞に対する機械的血栓除去術などあらゆる脳血管内手術に取り組んでいます。
2012年にはバイプレーン型血管撮影装置を導入し、これまで治療困難であった症例に対しても脳血管内手術ができるようになり、豊富な脳血管内手術件数を誇っています。血管内手術については「最先端医療 脳血管内手術」にて詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
また、従来より行われている脳動脈瘤のクリッピング手術では、蛍光観察モジュールが付属した高性能な手術顕微鏡を用いています。術中にICGという薬剤を用いて血管を蛍光観察することにより、動脈瘤の完全遮断、母血管・穿通枝の血流温存を顕微鏡下に確認することができ安全性の高い手術を施行しています。またこの術中に脈管を蛍光造影する方法は、頭蓋外の血管と頭蓋内の血管を吻合するような手術の場合も威力を発揮しています。
脳出血の手術では磁気式ニューロナビゲーションシステムを用いて、神経内視鏡による血腫除去術に積極的に取り組んでいます。これは従来の大開頭による血腫除去術に対し、明らかに低侵襲で、術後の早い段階からの離床およびリハビリテーションに役立っています。 - 脳腫瘍
原則として、ニューロナビゲーションシステムを用いた手術を施行しています。これは術前にあらかじめ撮影したMRIなどの画像を特殊な器械に取り込んでおき、手術中に用いる器具が実際の脳のどの位置にあるかを画像上で確かめながら手術ができるというものです。
脳の深部の位置情報が正確に分かるため、脳腫瘍手術の安全性が飛躍的に高まりました。また錐体路といって、運動神経の繊維束もニューロナビゲーション上に描出できるようになったため、特に錐体路付近の脳腫瘍の摘出術に威力を発揮しています。従来のナビゲーション装置は光学式の位置探査しかできませんでしたが、当院の器械は磁場式の位置探査もできるようになったため操作がより簡単になり、前述したように脳出血のように緊急性が必要とされる手術にも応用が可能になりました。錐体路付近の腫瘍に対してはMEPという電気生理学的なモニターを加えることにより、さらに安全な摘出手術に努めています。
脳に浸潤して発育する特徴を持つ悪性神経膠腫の手術では、アラベルという薬剤を用いた腫瘍蛍光観察手術を導入し、正常な脳組織を極力温存し、腫瘍組織を摘出する手術を心がけています。○ 脳腫瘍の治療に「光線力学的療法(PDT)」を愛知県で初導入しました
2017年4月より、脳腫瘍の治療に光線力学的療法(PDT)を愛知県で初導入しました。
開頭による脳腫瘍切除術後の残存腫瘍を選択的に治療することにより、低侵襲でさらなる治療効果が期待できます。
*詳細はこちら○ 膠芽腫の治療に「交流電場腫瘍治療(オプチューン)」を愛知県で初導入しました
2018年8月、初発膠芽腫と診断された脳腫瘍の患者さんの治療に交流電場腫瘍治療(オプチューン)を導入しました。手術後、初期治療の放射線療法と併用して行われる化学療法終了後に、脳内に低周波の交流電場を持続的に発生させて脳腫瘍細胞の分裂を阻害する体に負担の少ない維持療法です。
*詳細はこちら
診療方針
患者さん第一主義を基本としてインフォームドコンセントを重視し、十分に説明をし、ご理解いただいてから治療方針を決定しています。また脳神経内科や放射線科をはじめとする他科・他部門とも連携を密にしており、疾患によっては名古屋大学脳神経外科とも連携して治療に当たっています。
診療実績
外来・入院患者数(人)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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外来患者数 | 13,973 | 12,165 | 11,112 |
入院患者数 | 16,279 | 17,645 | 16,230 |
疾患別の治療・手術・検査実績(件)
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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総手術件数 | 351 | 328 | 366 |
脳動脈瘤手術 | 63 | 56 | 67 |
開頭脳動脈瘤クリッピング術 | 24 | 18 | 18 |
脳動脈瘤コイル塞栓術 | 39 | 38 | 39 |
脳腫瘍手術 | 36 | 34 | 27 |
神経膠腫摘出術 | 11 | 5 | 0 |
髄膜腫摘出術 | 10 | 10 | 5 |
下垂体腫瘍摘出術 | 5 | 5 | 5 |
聴神経腫瘍摘出術 | 1 | 2 | 1 |
転移性脳腫瘍摘出術 | 6 | 9 | 10 |
脳内血腫除去術 | 10 | 6 | 5 |
開頭血腫除去術 | 10 | 6 | 4 |
神経内視鏡下血腫除去術 | 0 | 0 | 1 |
頸動脈手術 | 26 | 31 | 40 |
頸動脈内膜剥離術 | 10 | 9 | 3 |
頸動脈ステント留置術 | 16 | 22 | 36 |
その他 | 0 | 0 | 1 |
頭部外傷手術 | 78 | 76 | 92 |
急性硬膜外血腫除去術 | 0 | 0 | 2 |
急性硬膜下血腫除去術 | 2 | 2 | 6 |
慢性硬膜下血腫除去術 | 73 | 74 | 84 |
水頭症手術 | 28 | 35 | 18 |
医師紹介
氏名 | 役職 | 出身大学 | 医師免許取得年 | 主な専門領域 | 指導医・専門医・認定医など |
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西澤 俊久 | 脳神経外科部長 脳卒中センター副センター長 |
名古屋大学 | 1993年 | 脳腫瘍、脳血管障害、脊椎脊髄疾患 |
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浅井 琢美 | 脳卒中センター医長 | 名古屋大学 | 2005年 |
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棚橋 邦明 | 医長 | 名古屋大学 | 2005年 |
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鈴木 直輝 | 医員 | 名古屋大学 | 2021年 | ||
岩永 渉 | 医員 | 名古屋大学 | 2022年 | ||
鈴木 雅也 | 医員 | 岐阜大学 | 2022年 |