当院では、2018年4月から保険診療として認可された「ロボット支援直腸切除術」を消化器外科において実施しております。 手術支援ロボット・ダヴィンチを利用して直腸がんを切除する腹腔鏡手術です。
ロボット支援直腸がん手術(保険診療)
ロボット支援直腸切除術(保険診療)とは?
対象は?
対象:直腸がんでも特に肛門に近い下部直腸を主にロボット手術の適応を考慮しています。
その理由は3点。
- ロボット手術の方が腹腔鏡手術や開腹手術に比べ肛門温存ができる可能性が高いからです。直腸がんというとすぐに人工肛門というイメージがあります。がんが肛門に近くなればなるほど人工肛門となる可能性が高くなります。その点、狭い骨盤内ではロボットの特性を十分発揮でき、骨盤奥深くまで操作ができることからより多くの患者さんに肛門温存が可能となり得ます。
- ロボット手術の方が腹腔鏡手術や開腹手術に比べ排尿障害、性機能障害が減らせるからです。直腸のすぐ横に存在する骨盤神経叢(そう)と言って排尿や性機能を司っている神経の束があります。下部の直腸癌手術の際にはその神経の束を触らざるを得ません。ロボット手術では鉗子の先端が540度回転させられることから適切な角度で左右の神経の束に沿っての手術が可能で神経の障害が減らせているからと考えています。
- ロボット手術の方が腹腔鏡手術や開腹手術に比べコストがかかるからです。保険収載されたロボット手術は腹腔鏡手術と同額に設定されました。しかし、ロボット手術の方が一回の手術にかかるコストは高くなります。限られた医療資源の中最も効率のいい医療が求められていることから、すべての直腸がん患者さんにではなくロボット手術が適切であると判断された患者さんにロボット手術を行っていき、腹腔鏡手術や開腹手術が適していると判断した患者さんにはそれぞれの手術を行っていきたいと考えています。
実績は?
2019年度 17件
2020年度 22件
2021年度 49件
2022年度 43件
2023年度 68件
入院期間・費用は?
入院期間の目安、および1割負担の方、3割負担の方の自己負担金額は以下のとおりです。
手術内容 | 入院期間 | 自己負担金額(1割負担) | 自己負担金額(3割負担) |
---|---|---|---|
開腹による直腸低位前方切除術 | 10日 | 7.2万円(食事代含む) | 54万円(食事代含む) |
従来の腹腔鏡下直低位前方切除術 | 10日 | 7.2万円(食事代含む) | 58万円(食事代含む) |
ロボット支援直腸低位前方術(ダヴィンチ) | 10日 | 7.2万円(食事代含む) | 58万円(食事代含む) |