従来の胸腔鏡手術は、胸に1~2cmの穴を3カ所(1カ所の傷は肺を取り出すために2.5~3.5cm切ります)開けてカメラや鉗子を挿入し、モニターを見ながら処置を行います。開胸手術に比べて傷が小さくなります。しかし、胸腔鏡に用いる鉗子は真っすぐな棒状であり、操作性や可動域に限りがあります。
ロボット支援胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(保険診療)
ロボット支援胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(保険診療)とは?
呼吸器外科では、肺がんに対して2020年6月から保険診療として許可されたロボット支援胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術を行っています。
ロボット支援手術は、胸腔鏡手術のひとつで術者がロボットをコントロールしながら行う低侵襲手術(患者さんの体への負担が少ない手術)のことです。体に約1~2cmの小さな穴を5カ所開けます(1カ所の傷は肺を取り出すために2.5-3.5cm)。胸腔鏡と同様にモニター画像を見ていますが、ロボット支援手術では術野を10倍に拡大し、立体的に見える3Dカメラを使用し、手ぶれのない多関節鉗子を用いるため、手術の正確性が高いのが特徴です。
対象は?
肺悪性腫瘍手術で、肺がん・転移性肺がんが対象となります。
肺葉切除術、肺区域切除術の術式が保険適応です。
縦隔腫瘍も対象ですが、保険診療となるのは2021年4月の予定です。
実績は?
呼吸器外科では山田、雪上の2名がロボット支援手術実施の認定資格を有しております。
2018年12月から現在(2020年12月)まで、約20件の手術を行っています。
効果は?
- ・出血が少ないです。
- ・痛みが軽減され、体への負担が少ない分、術後の回復が早く、早期の社会復帰が望めます。
- ・鉗子の動きが緻密で正確なので、組織の損傷や合併症を低減できます。
入院期間・費用は?
手術費用と入院期間の目安、および1割負担の方、3割負担の方の自己負担金額は以下のとおりです。
2020年6月から保険診療として認められていますので、手術費を含めた入院費は健康保険の適用となります。
肺悪性腫瘍手術 | 入院期間 | 手術費用(入院費含む) | 1割負担者 | 3割負担者 |
---|---|---|---|---|
開胸 | 8日 | 140万円(185万円) | 5.76万円 | 55万円 |
胸腔鏡下手術 | 8日 | 160万円(210万円) | 5.76万円 | 61万円 |
ロボット支援下手術 | 8日 | 160万円(210万円) | 5.76万円 | 61万円 |