言語聴覚療法

言語聴覚療法では、嚥下(飲み込む)機能の改善やコミュニケーション能力の向上を目的としています。脳卒中、事故による頭部外傷、神経疾患などによって起こる摂食嚥下障がいや失語症、構音障がいなどに対して評価・練習を行います。患者さんの症状に合わせた練習を段階的に進め、「食べる・飲み込む」「聞く」「話す」「読む」「書く」練習を行っています。また患者・家族の皆さまに対して、自己練習や適切な食事形態の提案などの援助も行い、より豊かな生活が送られるよう支援します。
小児から成人、入院から外来・訪問まで幅広い領域の患者さんに対して、質の高いリハビリを提供できるよう努めています。病棟スタッフと円滑に連携が取れるように、整形外科・脳神経外科・脳神経内科・内科・小児科の責任者を決めて体制を整えています。
言語聴覚士は英語でSpeech Therapist、頭文字を取って「ST」と呼ばれています。

摂食嚥下障がいの支援

摂食嚥下障がいとは、舌や喉の筋力低下などにより、食べたり飲み込んだりすることが困難になる症状です。
摂食嚥下障がいの患者さんに対して、嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)で評価をしながらリハビリを行っています。また、急性期からチームで嚥下回診を実施し、早期介入による誤嚥性肺炎の予防や機能改善をはかっています。リハビリテーション科医、摂食・嚥下障害看護認定看護師、管理栄養士との連携や、栄養サポートチームへの参加により、チーム医療を充実させています。入院患者さんだけでなく、外来での嚥下機能の評価も行っています。

2020年度 2021年度 2022年度
嚥下内視鏡検査(VE)の実績 571件 499件 486件
嚥下造影検査(VF)の実績 63件 53件 42件

失語症の支援

失語症は、脳卒中などにより主に脳の左半球にある言語中枢が損傷されて起こる言語機能の障がいです。
失語症の練習では、「花鼓Ⅱ」®(失語症リハビリテーション支援システム)という専用機器を導入し、より適切な練習を提供しています。
また、失語症友の会「さざんかの会」を定期的に開催し、患者・家族の皆さまの社会参加の場となっています。

構音障がいの支援

構音障がいとは、舌や口唇が麻痺などで動かしにくくなり、ろれつが回らなくなった状態のことです。
構音障がいの練習では、しゃべるために必要な舌や口唇の細かい動きを練習し、できるだけ楽にはっきりとしゃべることができるよう支援しています。

小児言語発達の遅れの支援

言葉の発達に遅れがあるお子さんに対して言語発達支援に取り組み、適宜詳細な検査を行っています。お子さんの発達段階に合わせ、ご家族の方と目標を共有しながら、ご家庭でのお子さんとの関わり方の提案をしています。

嚥下症例検討会

嚥下障がい患者さんのリハビリをより充実させるために、院内・院外で勉強会を開催しています。
院内症例検討会では、1カ月に2回、リハビリテーション科医と共に主に入院患者さんについて症例検討をしています。これまでの経過や、嚥下検査の結果を振り返りながら、リハビリ内容や方針をディスカッションします。
院外症例検討会では、3カ月に1回近隣の病院・施設の言語聴覚士の方々と共に、各病院・施設の患者さんについて症例検討をしています。お互いの経験を踏まえたディスカッションだけでなく、情報交換の場にもなっています。