医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院

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下部消化管

診療責任者

小林 建司
  • 副院長
  • 外科統括部長

廣川 高久
  • 消化器外科管理部長

患者の皆さまへの一言

大腸がん(結腸がん・直腸がん)を中心に、大腸憩室穿孔や急性虫垂炎などの急性腹症、内痔核、痔瘻などの肛門良性疾患の治療を行っています。
当院は従来腹腔鏡下手術を得意としていましたが、今はロボット支援手術に移行し、特に2023年1月以降は大腸がん手術の9割以上をロボット支援手術で行っています。日本内視鏡外科学会認定プロクター(指導医)が2名常勤で対応するという非常に質の高い治療を行っています。
他院で手術が必要と判断された方でも、ご相談いただければいつでも対応いたします。

代表的な対応疾患

  • 大腸がん
  • 直腸がん
  • 炎症性腸疾患
  • 肛門疾患

診療内容


 

下部消化管外科では大腸がんに代表される悪性疾患をはじめ、炎症性腸疾患、肛門疾患(痔など)、さらには、大腸憩室穿孔や急性虫垂炎など急性腹症の診療を行っています。患者さんに優しい負担の少ない治療をという思いから、悪性疾患と直腸の良性疾患はロボット支援で、結腸の良性腫瘍は腹腔鏡で手術治療を行っています。

大腸がん

大腸がんは大腸粘膜から発生する悪性腫瘍です。大腸がんは大きく結腸がんと直腸がんに分類されます。また、病変の大きさ、リンパ節への転移、他臓器への転移によってStage 0からStage IVに分類されます。大腸内視鏡で切除できなかった大腸がんは手術が必要になります。全ての治療方針は、患者・家族の皆さまと十分に相談し寄り添って決定しています。患者さんに最も適した治療が行えるよう常に心がけています。

患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版より

 

1.結腸がん

大腸がんの中でも盲腸からS状結腸にできたがんを結腸がんと呼びます。結腸がんに対する手術には結腸右半切除、S状結腸切除などがあります。大腸がんはリンパ節への転移を起こす可能性があるため、がんのある部分の腸に加え転移の可能性があるリンパ節も一緒に切除します。

患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版より

当院では、これらの手術を傷が小さく体に負担の少ないロボット支援手術で9割以上の患者さんに行っています。患者さんに優しい手術を安全かつ高い質(根治性)で提供できるよう、日本内視鏡外科学会が定める大腸領域での技術認定医(内視鏡下手術を安全かつ適切に施行する技術を有し、かつ指導するに足る技量を有していることを認定するもの)2名(2名ともロボット支援手術の指導医を取得)を中心に手術を行っています。
ロボット支援手術は、2022年4月に保険収載され、当院では以下の直腸がんに示したメリットを患者さんに還元できるよう、結腸がんにおいても安全かつ質の高い手術を提供します。

 

2.直腸がん

直腸がんは骨盤の中の大腸にできた病気です。2018年4月直腸がんに対するロボット支援手術が保険診療で行えるようになりました。ロボットの特徴として解像度の高い3D画像、腹腔鏡にはなかった多関節機能などがあり、骨盤内の奥深く狭いところの直腸がんこそロボット支援手術が適しています。また、直腸がんでは合併症として神経障害によって生じる性機能障害や排尿障害が起きることがあります。これらを回避するためにもロボット支援手術が非常に有用です。
これらの利点から、当院では2021年4月から直腸がんの全例をロボット支援手術の対象としています。特に2022年12月からはダ・ヴィンチ Xi2台とダ・ヴィンチ X1台の3台体制で、全大腸がん患者さんの95%にロボット支援手術を提供しています。このような手術が可能なのは、ダ・ヴィンチを有するだけでなく、県内でも結腸と直腸領域では数名しか認定されていない内視鏡外科学会の定めるロボット支援手術のプロクター認定(ロボット支援下内視鏡手術の手術手技において、術者として標準的な技量を取得し、他者によるロボット支援手術を円滑かつ安全に指導できる指導者を認定するもの)を受けた医師2名が在籍しているからです。

直腸がんが肛門付近に発生することもあります。そのような場合は肛門ごと切除して、人工肛門を作る必要が出てきます。おおよそ肛門から指で届く程度の部分にできた進行がんには直腸切断術が必要となってきます。近年、肛門近くの病変でも肛門を極力温存するようになってきました。その手術方法として括約筋間直腸切除術(intersphincteric resection:ISR)があります。肛門には内肛門括約筋と外肛門括約筋の二つがあり、外肛門括約筋を残すことで肛門機能を保つ方法です。肛門機能の低下はありますが、日常生活は可能な状態に戻ることがほとんどです。当院ではこのような肛門温存手術もロボット支援手術で行なっております。先ほど述べたとおり、ロボット支援手術は狭い骨盤の中でより安定した手術が可能であるため、肛門温存手術においても非常に有用です。ロボット支援手術は腹腔鏡手術より肛門温存率が明らかに高いというデータもあります。私たちもロボット支援手術の有用性を実感しています。当院では適応を的確に判断し、患者さんの年齢や生活を鑑み、相談した上で極力肛門を温存するように行っております。

患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版より


手術件数推移

 

3.高度に進行した大腸がんや再発された方への拡大手術

大腸がんは高度に進行すると他臓器に浸潤したり、遠くの臓器やリンパ節に転移したりします。特に直腸がんでは狭い骨盤の中に膀胱や子宮など多くの臓器があり、それらの臓器へ浸潤を起こしやすい状況にあります。また、お腹の中に再発した場合、多くは他の臓器に食いつくように再発します。他臓器に転移や再発がある場合も、大腸がんは手術で切除すれば根治できる可能性があります。逆に切除しなければ治りません。当院では”がんを克服”をモットーに他臓器合併切除などの拡大手術を積極的に行っています。また、抗がん剤や放射線治療を組み合わせることでさらに再発を抑えるよう集学的治療に取り組んでいます。他病院で切除ができないと診断された方でも、当院で切除できるかもしれません。もし、そのような診断を受けた方がいらっしゃいましたら一度ご相談ください。

炎症性腸疾患
内科的治療に抵抗性のある潰瘍性大腸炎や瘻孔を形成するクローン病に対して外科的治療を行っています。潰瘍性大腸炎の患者さんにはロボット支援手術を施行して、小さな切開創で大腸全摘出術、回腸―肛門吻合または回腸―肛門管を行っています。
結腸憩室症
近年、食生活の変化や環境要因などで特に左側結腸(S状結腸など)の憩室(けいしつ)症が増えています。膀胱と交通したり穿孔を起こしたり、狭窄(きょうさく)で排便時に痛みが生じる場合は積極的な手術適応があり、多くの場合腹腔鏡手術で対応しています。
肛門疾患
主として内痔核(いぼ痔)、痔瘻、直腸脱に外科的治療を行っています。痔核については、保存的治療(薬物療法)の後、注射(ALTA)での治療を取り入れた負担の少ない手術を心がけています。 治療方針は、肛門疾患診療ガイドラインに基づき標準的な治療を提供しております。また、直腸脱については、カウンセリングの後、経肛門的手術や腹腔鏡下直腸固定術など導入しております。
大腸・肛門専門の外来(毎週木曜日午前)を開設していますのでご相談ください。
その他一般外科
消化器外科では、急性虫垂炎に対しては全例腹腔鏡下手術で対応しています。

診療方針

各疾患に対してガイドラインに沿った医療を基本方針としております。先進的な医療・技術を常に取り入れながら、十分なご説明の上に同意をいただきながら診療を行っています。

診療実績

疾患別の治療・手術・検査実績(件)

    2020年 2021年 2022年
大腸がん 結腸がん(合計) 118 103 104
腹腔鏡下結腸手術 96 91 48
ロボット支援結腸手術 - - 47
直腸がん(合計) 49 64 49
腹腔鏡下直腸手術 23 10 3
ロボット支援直腸手術 22 49 43

医師紹介

氏名 役職 出身大学 医師免許取得年 主な専門領域 指導医・専門医・認定医など
小林 建司 副院長
外科統括部長
名古屋市立大学 1986年 消化器外科、
下部消化管外科
  • 日本外科学会
    指導医、外科専門医
  • 日本消化器外科学会
    指導医、消化器外科専門医
  • 日本大腸肛門病学会
    指導医、大腸肛門病専門医
  • 日本内視鏡外科学会
    ロボット支援手術プロクター(指導医)、
    技術認定取得者
  • 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
    認定士
  • 日本化学療法学会
    抗菌化学療法指導医
  • 日本ロボット外科学会専門医(国内A級)
田中 守嗣 病院長 名古屋市立大学 1981年 消化器外科、
肝胆膵外科
  • 日本外科学会
    指導医、外科専門医、認定医
  • 日本消化器外科学会
    指導医、消化器外科専門医、認定医
    消化器がん外科治療認定医
  • 日本肝胆膵外科学会
    評議員、高度技能指導医
  • 日本肝臓学会
    肝臓専門医
  • 日本外科感染症学会
    評議員
  • 日本がん治療認定医機構
    暫定教育医
木村 昌弘 参事 名古屋市立大学 1989年 消化器外科
  • 日本外科学会
    指導医、外科専門医、認定医
  • 日本消化器外科学会
    指導医、消化器外科専門医
  • 日本食道学会
    食道外科専門医、食道科認定医
山本  稔 消化器外科部長 名古屋市立大学 1993年 消化器外科、
肝胆膵外科
  • 日本外科学会
    外科専門医、認定医
  • 日本消化器外科学会
    消化器外科専門医
  • 日本消化器病学会
    消化器病専門医、認定医
  • 日本がん治療認定医機構
    がん治療認定医
  • 日本内視鏡外科学会
    技術認定取得者
  • 日本感染症外科学会
    ICD認定医
宮井 博隆 上部消化管外科部長 名古屋市立大学 2000年 消化器外科、
上部消化管外科
  • 日本外科学会
    指導医、外科専門医
  • 日本消化器外科学会
    指導医、消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
  • 日本内視鏡外科学会
    ロボット支援手術プロクター(指導医)、
    技術認定取得者
  • 日本大腸肛門病学会
    大腸肛門病専門医
  • 日本がん治療認定医機構
    がん治療認定医
廣川 高久 消化器外科管理部長 山梨医科大学 2003年 消化器外科、
下部消化管外科
  • 日本外科学会
    指導医、外科専門医
  • 日本消化器外科学会
    指導医、消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
  • 日本内視鏡外科学会
    ロボット支援手術プロクター(指導医)、
    技術認定取得者
  • 日本大腸肛門病学会
    大腸肛門病専門医
  • 日本がん治療認定医機構
    がん治療認定医
上野 修平 消化器外科医長 名古屋市立大学 2010年 消化器外科
  • 日本外科学会
    外科専門医
  • 日本消化器外科学会
    指導医、消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
  • 麻酔科標榜医
  • 日本消化器病学会
    消化器病専門医
  • 日本内視鏡外科学会
    技術認定取得者
  • 日本食道学会
    食道科認定医
  • 日本腹部救急医学会
    腹部救急認定医
  • 日本臨床栄養代謝学会
    NST医師
加藤 潤紀 消化器外科医員 名古屋市立大学 2017年 消化器外科
齊藤 健志 消化器外科医員 愛媛大学 2019年 消化器外科
中島  亮 消化器外科医員 名古屋市立大学 2019年 消化器外科

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